稽古風景

稽古の流れ

 心身を鍛える為に空手を学ぶのですから、年齢や体力に合わせて安全面に配慮しています。選手として試合に出る稽古生もいますし、趣味や健康目的の50代の稽古生の方もいます。「体力がついてこない場合は、半分の回数でも良いので正しい動作を心がけてください」と指導しています。

 ここに紹介する以外に、畳に転がされた場合に身を守る受け身の稽古、特に突き蹴りの防御を重視した捌きの稽古、掴みかかる相手を抑える掛手(かけて)の稽古などがあります。

基本稽古

 基本稽古とは空手独特の立ち姿で腰を落とし、その場で基本となる突きや蹴りの動作を反復する稽古です。基本稽古を通して基本の動作、突き蹴りの原理、体の軸などを学んでいきます。基本の稽古ですが、一番大事な稽古です。

移動稽古

 移動稽古とは基本稽古で学んだ突き蹴りを、実際に移動しながら連続して繰り出す動作です。ボクシングに例えるなら、相手を想定して一人で行うシャドーボクシングにあたります。この時に姿勢がフラフラするようでは、基本稽古が足りないという事になります。

ミット稽古

 ミット稽古の目的は実際に目標物を打撃し威力と筋骨を鍛えます。バン!バン!と小気味良く音を鳴らしながら力いっぱい突いたり蹴ったりする動作は、大人にも子供にも人気があります。時には飛び蹴りなど派手な技を取り入れて、遊び心の多い稽古になる事もあります。

約束形

 約束型とは定められた動作で攻防を繰り返し、動作の意味や身体の感覚を学ぶ稽古です。特に大事なのは、力任せ勢い任せの動きにならないよう気をつけ、無駄な力を省いた動作、姿勢や足の運びに注意します。武道としての理合や、身体の操作や感覚を学ぶ、非常に奥の深い稽古です。

約束形の応用(護身術)

 自分に不利な状況で攻撃された場合や、相手が武器を持っている場合などを想定し、また護身術としての意味合いも踏まえて応用技を学びます。剛力でガッチリと掴みかかる相手を、ひょいと抑え込めるようになると更に稽古が楽しくなります。

武器術

 「捌き、打突、関節技、投げ技、絞め技」の稽古が一通り進んだ稽古生には、武器術として杖術(じょうじゅつ)を学んでもらいます。日本の武術は本来、素手の技と武器の技は表裏一体の関係にあります。素手の空手の原理で杖を操るのです。